[CX-05] 複素平面上の直線方程式 [CX-06] 実数でないことの証明
CX-05 複素数平面上の直線方程式
(1)複素数平面上の 2 点、α = a + i b と β = c + i d を通る直線の方程式を
z = x + i f(x) の形で求めてください。
(2) 複素数平面上の原点と 1 + i を結ぶ直線の方程式を求めてください。
CX-05 のヒント
x と y の関係を求める問題です。
CX-05 の解答
(1) まず状況を複素数平面に描いてみます。
複素数平面上であっても、x と y の関係に着目すると、普通の x – y 平面における直線方程式と同じです。なので
(a - c) (y - b) = (b - d) (x - a)
となります。これを y = f(x) の形に書き直すと
\[y=\frac{b-d}{a-c}\:x+\frac{ad-bc}{a-c}\]
となるので、z – x の方程式として
\[z=x+i\left[ \frac{b-d}{a-c}\:x+\frac{ad-bc}{a-c} \right]\]
が得られます。
(2) α = 1 + i, β = 0 + 0 i とすると
a = 1, b = 1, c = 0, d = 0
ですから、(1) の結果に代入して
z = x + ix = (1 + i) x
という方程式となります。
CX-06 実数でないことを証明します
\(p\) を素数、\(a, \:b\) を互いに素な正数とするとき、
\((a+b\:i)^{ p}\) は実数でないことを示してください。 \(i\) は虚数単位です。(京大)
CX-06 のヒント (2 は偶数です)
今回は京都大学理系の入試問題です。さすがにすらすら証明できるような問題ではありませんけど、2項展開が面倒であることを差し引けば、素直な手順で意外となんとかなります。30分~1時間ぐらいかけて丁寧に解答してみてください。出だしには注意です。素数のなかでも 2 だけは偶数なので、いつも気を付けておきたいところですね。
CX-06 の解答
p = 2 のときは
\[(a+bi)^2=a^2-b^2+2abi\]
となって虚部は 0 とはなりません。p ≧ 3 のときは p は全て奇数となります。何はともあれ、まずは2項展開です。
\[\begin{align*}f\equiv &(a+bi)^p\\[6pt]
=&a^p+\binom{p}{1}a^{p-1}(bi)+\binom{p}{2}a^{p-2}(bi)^2+\binom{p}{3}a^{p-3}(bi)^3+\: \cdots \:\\[6pt]
&+\binom{p}{p-2}a^{p-(p-2)}(bi)^{p-2}+\binom{p}{p-1}a^{p-(p-1)}+(bi)^p
\end{align*}\]
必要なのは虚部なので、実部は Ref とだけ書いて分離します。以降、 i2 を -1 に置き換えてしまうと、かえってややこしくなるので、そのままにしておきます。
\[\begin{align*}f=&(a+bi)^p\\[6pt]
=&\mathrm{Re}f+\binom{p}{1}a^{p-1}(bi)+\binom{p}{3}a^{p-3}(bi)^3+\: \cdots \:+\binom{p}{p-2}
a^2(bi)^{p-2}+(bi)^p\end{align*}\]
虚部を bi で括ります。
\[\begin{align*}
f=&(a+bi)^p\\[6pt]
=&\mathrm{Re}f+ bi\left \{ \binom{p}{1}a^{p-1}+\binom{p}{3}a^{p-3}+\: \cdots \:+\binom{p}{p-2}a^2(bi)^{p-3}+(bi)^{p-1} \right \}\end{align*}\]
したがって f の虚部 Imf は
\[\mathrm{Im}f= b\left \{ \binom{p}{1}a^{p-1}+\:\cdots \cdots \:+\binom{p}{p-2}a^2(bi)^{p-3}+(bi)^{p-1} \right \}\]
と書くことができます。 Imf = 0 とおくと、b > 0 より
\[pa^{p-1}= -\binom{p}{3}a^{p-3}(bi)^2-\ \cdots \:-\binom{p}{p-2}a^2(bi)^{p-3}-(bi)^{p-1}\]
ここで -(bi)2 = b2 で右辺を括ります。
\[pa^{p-1}= b^2\left \{ \binom{p}{3}a^{p-3}+\ \cdots \:+\binom{p}{p-2}a^2(bi)^{p-5}-(bi)^{p-3} \right \}\]
右辺は b2 の倍数なので左辺も b2 の倍数である必要があります。しかし a と b は互いに素なので、p が b2 の倍数でなければなりません。しかし p は素数なので b = 1 だけが適合します。そこで改めて b = 1 として Imf = 0 の方程式を書きなおすと
\[pa^{p-1}+\binom{p}{3}a^{p-3}(i)^2+\:\cdots \:+\binom{p}{p-2}a^2(i)^{p-3}=-(i)^{p-1}\]
左辺は a2 の倍数、右辺は ±1 なので a = 1 とならなければなりません。したがって Im f が 0 となる可能性があるのは a = b = 1 だけですが、その場合も
\[(1+i)^p=2^{p/2} \left( \cos \frac{\pi}{4}+i\:\sin \frac{\pi}{4} \right)\]
となって虚部は 0 になりません。以上の議論より \((a+bi)^p\) は実数にはなりません(証明終)。 ≫ 複素解析学演習問題
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