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交代級数・絶対収束級数・条件収束級数

ある条件のもとで交代級数が収束することを示し、また絶対収束と条件収束の定義について解説します。 

交代級数

各項の符号が交互に入れ替わる次のような無限級数を考えてみます。
 S=112+1314++12m+
これだけ見ても、足される部分と引かれる部分の寄与の大きさがわからず、+∞ あるいは -∞ に発散するのか、それともどこか適当な値に収束するのか、よくわかりません。丁寧に調べてみましょう。まず偶数項までの部分和をとってみます。2 項ずつ ( ) で括ってみると
 S2m=(112)+(1314)++(12m112m)
() の中は全て正ですから、S2m>0 であることがわかります。また
 S2m=1[(1213)+(1415)++(12m212m1)+12m]
と書くこともできます。() の中は全て正なので S2m<1 です。つまり S2m の値は
 0<S2m<1
の範囲に制限されていて、
 limnS2m=α(0<α<1)
であることがわかります。奇数項の場合は、
 S2m+1=S2m+a2m+1
なので、偶数項までの和に 1 より小さな数を加えるだけです。つまり
 0>S<2
となって、この級数が収束することがわかります。一般的な交代級数については、以下の事実が知られています。

非負の実数 an を用いて表される級数
S=a1a2+a3a4++an+を交代級数 (alternating series) と定義する。
an+1anlimnan=0という条件を満たしているとき、交代級数は収束する。

【交代級数が収束することの証明】偶数項までの部分和をとると
 S2m=(a1a2)+(a3a4)++(a2m1a2m)
と書くことができます。() の中は非負なので S2m0 であることがわかります。また
 S2m=a1[(a2a3)+(a4a5)++(a2m2a2m1)+a2m]
と表すと、() の中は全て非負なので S2ma1 となります。よって
 0S2ma1
となって、数列 {S2m}有界な単調増加数列なので収束します
 limnS2m=α(0α1)
また奇数項については、
 S2m+1=S2m+a2m+1
と書けるので、limnan=0 より
 limnS2m+1=α
となって同じ値に収束することがわかります。

絶対収束級数

任意の符号をもつ an からつくられる級数
 S=an=a1+a2++an+
の各項の絶対値をとった級数
 T=|an|=|a1|+|a2|++|an|+
が収束するとき、S は絶対収束するといい、またこのような級数のことを絶対収束級数(absolutely convergent series)とよびます。

T=|an| が収束するならば、S=an は必ず収束する。

【証明】ST の部分和をそれぞれ
 Sn=an=a1+a2++anTn=|an|=|a1|+|a2|++|an|
とおいて加えると
 Sn+Tn=(a1+|a1|)+(a2+|a2|)++(an+|an|)2(|a1|+|a2|++|an|)
an+|an|0 なので Sn+Tn は有界な単調増加数列であって、limn(Sn+Tn) は収束します。よって limnSn は収束します。たとえば
 S=12122+123124+
という交代級数を考えてみます。各項の絶対値をとった級数は
 T=12+122++12n+
となります。部分和をとると
 Tn=12+122++12n
Tn から Tn/2 を引いてみると
 TnTn/2=(12+122++12n)(12+122++12n+12n+1)=1212n+1
となります。すなわち
 Tn=112n
なので T=limnTn=1 となります。したがって級数 S は絶対収束します。

条件収束級数

任意の符号をもつ an からつくられる級数
 S=an=a1+a2++an++
は収束しても、各項の絶対値をとった級数
 T=|an|=|a1|+|a2|++|an|++
は収束しないとき、S は条件収束するといい、このような級数のことを条件収束級数(conditionally convergent series)とよびます。

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