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0で割ってはいけない理由

なぜ0で割ってはいけないのでしょう?

$a$ を $b$ で割ることを文字式で $a/b$ と表現します。そして、このように記述した場合、$b$ は $0$ ではないことが自動的に明示されたことになります。どんな数も0で割ってはいけないということは小学生の頃から教わる規則ですね。しかし「いけない」という表現は「できるけど、やってはいけない」というような意味にとられる可能性もあるので、0で割ることができないと表現した方が良いと思われます。そして割ることができない理由は厳密には2つ存在するのです。その説明に入る前に「割り算は掛け算の逆演算として定義されている」ことを再確認しておく必要があります。たとえば、
 \[5\times 2=10\]
という式において、$10$ を $2$ に戻す演算として
 \[10/5=2\]
あるいは、$10$ を $5$ に戻す演算として
 \[10/2=5\]
を定義します。数学では実数以外にも複素数や行列などにも似たような逆算が定義されています。掛けた数を戻す演算が存在しないと発展性がないからです。一般的に文字で表すと、
 \[a\cdot b=x\tag{1}\]
の逆算(割り算)は
 \[a=x/b,\quad b=x/a\tag{2}\]
となります。(1) と (2) は同じことを表す式です。

0で割ることができない理由①

$1$ を $0$ で割るという表現を分数で表してみます。
 \[1/0=x\]
$1$ を $0$ で割った答えが何らかの数 x になるという式です。この式を掛け算の表式に直すと
 \[1=0\cdot x\]
となりますね。つまり「$0$ をかけて $1$ になるような数 $x$ は何ですか?」という方程式となっています。そんな数は存在しません。つまり方程式は「解なし」です。より一般的に $0$ 以外の数を $a$ とおいて
 \[a/0=x\tag{3}\]
についても、
 \[a=0\cdot x\tag{4}\]
となって、やはりこのような $x$ は存在しません。

0で割ることができない理由②

今度は $0$ を $0$ で割ってみます。
 \[0/0=x\tag{5}\]
やはり掛け算に直すと
 \[0=0\cdot x\tag{6}\]
となります。これは「$0$ を掛けて $0$ になる数は何か?」という方程式です。$x$ に何を入れても等式 (6) は成立します。つまり「解は無数に存在する」ので $x$ を1つに決めることはできません。したがって「$0$ を $0$ で割る演算」も定義することはできません。

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