不動直線(一次変換によってそれ自身に移される関数)

CL15 不動直線

 曲線 $y=f(x)$ 上の任意の点における接線が一次変換

\[\begin{pmatrix}X\\ Y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1 & 1\\0 & 3\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\ y\end{pmatrix}\]によって、それ自身に移されるような f(x) を求めてください。

【ヒント】新課程では消えてしまった一次変換ですけど、
 
\[\begin{pmatrix}a & b\\c & d\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\ y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}ax+by\\cx+dy\end{pmatrix}\]
という行列の計算規則を踏まえれば、この問題は解けます。

【解答】一次変換によって移される前の点がみたす曲線上の点 $(\alpha, f(\alpha))$ における接線の方程式は
 
\[y-f(\alpha)=f'(\alpha)(x-\alpha) \tag{2}\]
となります。次に移される前の点 $(x,\ y)$ が、移されたあとの点 $(X,\ Y)$ によってどのように表されるか調べます。

 つまり問題で与えられた変換とは逆順に $(X,\ Y)$ から $(x,\ y)$ への変換がどのような形になっているかをみるのです。ここでは逆行列を用いますが、そうした手法を知らない場合でも問題で与えられた一次変換式 (1) から $X = F(x,y)$ と $Y = G(x, y)$ を解いて $x = f(X, Y),\ y = g(X, Y)$ を得ることができます。

 式 (1) の両辺に左側から逆行列をかけて
 
\[\begin{pmatrix}x\\ y\end{pmatrix}=\frac{1}{3}\:\begin{pmatrix}3 & -1\\0 & 1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}X\\Y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}X-Y/3\\ Y/3\end{pmatrix}\]
となるので、これを式 (2) に代入して整理すると
 
\[\frac{1}{3}\:(1+f'(\alpha))Y-f(\alpha)=f'(\alpha)(X-\alpha) \tag{3}\]
という方程式を得ることができます。ところで $X,\ Y$ もまた曲線 $y = f(x)$ 上の接線の上にあるので、式 (2) と同じ形になっていなくてはなりません。そこで (2) の $y$ の係数と (3) の $Y$ の係数を比較すると
 
\[\frac{1}{3}\:(1+f'(\alpha))=1\]
となるので \(f'(\alpha)=2\) となります。改めて \(\alpha\) を x で置き換えると、 \(f'(x)=2\) となり、これを積分して
 
\[f(x)=2x+C\]
を得ることができます (C は積分定数)。

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