ルジャンドル予想

 数学未解決問題コーナーです。今回は ルジャンドル予想 (Legendre’s conjecture) を紹介しますが、そのまえにまず 素数砂漠 について簡単に触れておきます。

素数砂漠

 自然数を並べて、その中にどのくらいの素数があるのかという問題は、最先端の数学でも解き明かせていません。あるところに素数がぱらぱらと現れているかと思うと、素数がずーっと存在しない区間があったりもします。たとえば 114 から 126 の数は 13 連続で合成数です。

 このような素数の存在しない「素数砂漠」の長さに限りがないことは簡単に証明できます。たとえば n ≧ 2 の連続する n − 1 個の自然数

   n! + 2, n! + 3, …, n! + n

を考えてみます。 n! = n・(n-1) ・・・ 3・2・1 ですから、それそれ 2, 3, …, n で必ず割り切れます。つまり合成数です。この n は任意ですから、いくらでも大きい数を当てはめることができます。つまり、いくらでも大きな「素数砂漠」があるということです。

ルジャンドル予想

 そうは言っても「この中には必ず1つは素数がある」という区間の長さを知りたいと願うのは人情(?)というものですよね。フランスの数学者アドリアン=マリ・ルジャンドルは

   n2 と (n + 1)2 の間には必ず素数が存在する!

と予想しました。これが ルジャンドル予想 (Legendre’s conjecture) です。もうちょっと簡単に言い換えると、

   2 つの平方数の間には必ず素数が存在する!

ということですね。小さい数で試してみましょう。

   区間 [1, 4] には 2, 3
   区間 [4, 9] には 5, 7
   区間 [9, 16] には 11, 13
   区間 [16, 25] には 17, 19, 23

 うーむ、なるほど。1 つどころか 2 つも 3 つもありますよ。確かに、この予想は正しそうですね( ← まだちょっとしか調べてないのに適当なことを言っている)。 114 から 126 は素数砂漠だと言いましたけど、矛盾していないか調べてみましょう。区間 [100, 121] には

   101, 103, 107, 109, 113

と 4 つも素数が存在しています。また [121, 169] にも

   127, 131, 137, 139, 149, 151, 157, 163

と 8 個も素数が並んでいて、ルジャンドル予想に一致していますが、 [114, 126] は [100, 121] と [121, 169] にまたがる区間です。ここには素数が存在していませんが、予想と矛盾しているわけではありません。いずれにしても、この予想についての反例は 1 つも見つかっていないので、「おそらく正しいのだろう」と思われているのです。

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