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乗法的関数の定義と性質

乗法的関数の定義

今回から整数論的関数を扱います。
まず最初に 乗法的関数 を次のように定義します。

【定義D1】正の整数 a,b について
(a,b)=1f(ab)=f(a)f(b)が成り立つような関数を乗法的関数(multiplcative function)と定義する。

たとえば f(n)=n は乗法的関数です。なぜなら f(a)=a,f(b)=b より
f(ab)=ab=f(a)f(b)
が成り立つからです(この例では (a,b)=1 に限らず f(ab)=f(a)f(b) が常に成り立ちます)。しかし f(n)=n+1 の場合、
f(ab)=ab+1f(a)f(b)=(a+1)(b+1)=ab+a+b+1
すなわち f(ab)f(a)f(b) となるので乗法的関数ではありません。

乗法的関数の積

乗法的関数同士の積をつくると乗法的関数なるというのが次の定理です。

【定理D1】f(n),g(n) が乗法的関数であるときは、h(n)=f(n)g(n) も乗法的関数となる。

[証明] f(n),g(n) が乗法的関数なので
f(ab)=f(a)f(b)g(ab)=g(a)g(b)
が成り立ちます。したがって
h(ab)=f(ab)g(ab)=f(a)f(b)g(a)g(b)={f(a)g(a)}{f(b)g(b)}=h(a)h(b)
となるので、h(n)=f(n)g(n) は乗法的関数です。(証明終)

乗法的関数の約数にわたる和

乗法的関数の約数にわたる和が乗法的関数になる、というのが以下の定理です。

【定理D2】f(n) が乗法的関数であるならば
g(n)=d|nf(d)もまた乗法的関数となる。ただし d|nn の全ての約数について和をとることを意味する。

少し見慣れない記号が出てきましたが、たとえば n の約数が d1,d2,d3 だとすると、
g(n)=f(d1)+f(d2)+f(d3)
が乗法的関数となるということを述べています。

[証明] (a,b)=1 となるような a,b を用いて n=ab のように分解すると、
g(n)=d|nf(d)=da|a,db|bf(dadb)=da|a,db|bf(da)f(db)=da|af(da)db|bf(db)=g(a)g(b)
となって、g(n) が乗法的関数であることが示されました。(証明終)

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