二項展開・分母の有理化・近似分数

AG04 二項展開

 $(x+y)^6$ を展開してください。
 
【ヒント】二項定理 を使って展開します。展開式の各係数が左右対称になることを意識しておくと計算しやすくなります。

【解答】二項定理の公式は次のようになります。
 
\[(x+y)^n=\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_k\:x^{\:k}\:y^{\:n-k}\]
 上式で $n = 6$ とおくと
 
\[(x+y)^n=\sum_{k=0}^6{}_6\mathrm{C}_k\:x^{\:k}\:y^{\:6-k}\]
となるので
 
\[(x+y)^6=x^6+{}_{6}\mathrm{C}_{1}x^5y+{}_{6}\mathrm{C}_{2}x^4y^2+{}_{6}\mathrm{C}_{3}x^3y^3+{}_{6}\mathrm{C}_{4}x^2y^4+{}_{6}\mathrm{C}_{5}xy^5+y^6\]
 ここで、${}_{n}\mathrm{C}_{k}={}_{n}\mathrm{C}_{n-k}$ を使うと、${}_{6}\mathrm{C}_{1}={}_{6}\mathrm{C}_{5}=6$, ${}_{6}\mathrm{C}_{2}={}_{6}\mathrm{C}_{4}=15$ なので、

\[(x+y)^6=x^6+6x^5y+15x^4y^2+20x^3y^3+15x^2y^4+6xy^5+y^6+\]
が得られます。ちなみに下図のようなパスカルの三角形を使うと簡単に係数を決めることができます。

 パスカルの三角形図

AG05 分母の有理化

 次の式を有理化してください。
\[\frac{1}{1+\sqrt{2}+\sqrt{3}}\]
【ヒント】分母にある式のうち、1つの項をマイナス符号にしてかけます。
 
【解答】分母と分子に $1+\sqrt{2}-\sqrt{3}$ を掛けて、
 
\[\begin{align*}\frac{1}{1+\sqrt{2}+\sqrt{3}}&=\frac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{(1+\sqrt{2}+\sqrt{3})(1+\sqrt{2}-\sqrt{3})}\\[6pt]&=\frac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{(1+\sqrt{2})^2-3}\\[6pt]&=\frac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{2\sqrt{2}}\\[6pt]&=\frac{2+\sqrt{2}-\sqrt{6}}{4}\end{align*}\]
 
【有理化の基本と応用】たとえば \(1/\sqrt{2}\) のように、分母に無理数が含まれる場合、数学の慣例として、分母を有理数である形に直したほうがよいとされています。それには実に深い理由があるのですが、難しい話になってしまうので、ここでは触れません。ただ、美的観点からも、分母に根号があるのは確かに美しくないのです。それでは \(1/\sqrt{2}\) を変形してみましょう。やることは簡単です。分子と分母に $\sqrt{2}$ をかけて、
 
\[\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{2}}{2}\]
となります。このような作業を 分母の有理化 とよびます。実際問題としても、$\sqrt{}=1.414$ などを使って近似値をもとめるときに、分母を有理化したおいたほうが
 
\[\frac{\sqrt{2}}{2}=\frac{1.414}{2} = 0.707\]
というように計算しやすくなります(有理化していない場合は $1$ を $1.414$ で割ることになります)。もう少し練習してみましょう。
 
\[\sqrt{\frac{2}{3}}\]
について、分子と分母に $\sqrt{3}$ をかけると
 
\[\frac{\sqrt{6}}{3}\]
となりますね。でも、いちいち「分子と分母に … 」と考えるのも手間なので、こういう簡単な場合は次の公式を覚えてしまいましょう。
 
\[\sqrt{\frac{a}{b}}=\frac{\sqrt{ab}}{b}\]
 もう少し複雑な例を見てみます。
 
\[\frac{1}{\sqrt{2}+\sqrt{3}}\]
 分母に 2 つも根号がありますね。初めて見たときは、どうしていいのかわからないものですが、
 
\[(a+b)(a-b)=a^2-b^2\]
という公式を思い出してください。つまり、分子と分母に $\sqrt{2}-\sqrt{3}$ をかけると、有理数に変えることができるのです。
 
\[\frac{1}{\sqrt{2}+\sqrt{3}}=\frac{\sqrt{2}-\sqrt{3}}{(\sqrt{2}+\sqrt{3})(\sqrt{2}-\sqrt{3})}=\frac{\sqrt{2}-\sqrt{3}}{2-3}=\sqrt{3}-\sqrt{2}\]
 分母がなくなって、すっきりした形になりましたね。
 これも公式を覚えてしまうと計算が楽になります。
 
\[\begin{align*}\frac{1}{\sqrt{a}+\sqrt{b}}=\frac{\sqrt{a}-\sqrt{b}}{a-b}\\\frac{1}{\sqrt{a}-\sqrt{b}}=\frac{\sqrt{a}+\sqrt{b}}{a-b}\end{align*}\]

AG06 √3 の近似分数

 ある数 $x$ を次のように連分数展開します。
\[x=a_0+\frac{1}{a_1+\cfrac{1}{a_2+\cfrac{1}{a_3+\cfrac{1}{\cdots \cdots }}}}\]このとき、$a_3$ より後ろの分数を打ち切って、
\[x=a_0+\frac{1}{a_1+\cfrac{1}{a_2+\cfrac{1}{a_3}}}\]としたとき、
\[k_3=[a_0,\: a_1,\: a_2,\: a_3]\]と書いて $x$ の第 3 近似分数とよびます。
(1) √3 を連分数展開して、第 6 近似分数を求めてください。
(2) (1) で求めた分数を小数に直してください。ただし、小数点以下 5 桁で解答するものとします。

【ヒント】$\sqrt{3}=1+(\sqrt{3}-1)$ と書けます。

【解答】$\sqrt{3}=1+(\sqrt{3}-1)$ と書けるので、途中まで連分数展開してみると
 
\[\begin{align*}\sqrt{3}&=1+\frac{1}{\cfrac{1}{\sqrt{3}-1}}=1+\frac{1}{\cfrac{2+\sqrt{3}}{2}}=1+\frac{1}{1+\cfrac{\sqrt{3}-1}{2}}\\&=1+\frac{1}{1+\cfrac{1}{\cfrac{2}{\sqrt{3}-1}}}=1+\frac{1}{1+\cfrac{1}{\sqrt{3}+1}}\end{align*}\]
となり、最後の分母に $\sqrt{3}$ がまた現れます。以降の展開は繰り返しになりますから、第 6 近似分数は
 
\[k_6=[1,\: 1,\: 2,\: 1,\: 2,\: 1,\: 2]\]
と書けます。連分数は [ … ] の後ろにある 1, 2 の部分から順に後ろから前へ計算します。
 
\[1+\frac{1}{2}=\frac{3}{2}\]
 次はこの逆数の値に 2 を加えます
 
\[2+\frac{3}{2}=\frac{8}{3}\]
 こうして順次 [ … ] を後ろ向きに計算していくと
 
\[\begin{align*}1+\frac{3}{8}&=\frac{11}{8}\\[6pt]
2+\frac{8}{11}&=\frac{30}{11}\\[6pt]
1+\frac{8}{30}&=\frac{41}{30}\end{align*}\]
となって、第 6 近似分数
 
\[1+\frac{30}{41}=\frac{71}{41}\]
が得られます。

(2) 第 6 近似分数を計算してみると

\[\frac{71}{41}=1.73171\]
が得られます。ちなみに正確な値は 1.73205 ですから、まずまずの近似だといえるでしょう。このように、小数表記では全く循環しない無理数であっても、連分数表記では $[ … , 1, 2, 1, 2, … ]$ という単純な周期をもっていることは驚きですね。

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