【NT26】x^2+y^2=3 を満たす有理数は存在しません
(1) $a,\:b$ を整数とします。$a^2+b^2$ が $3$ で割り切れるならば、 $a$ と $b$ はともに $3$ で割り切れることを示してください。
(2) $x^2+y^2=3$ を満たす 有理数 $x,\:y$ が 存在しない ことを証明してください。(都立大)
【ヒント】背理法を用います。(2) は (1) の結果を上手く使えるような形にもっていきます。
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【解答】(1) 背理法で示します。つまり $a^2+b^2$ が $3$ の倍数であるときに、$a,\:b$ のいずれかが(あるいは両方とも)$3$ の倍数ではないと仮定します。$a$ が $3$ の倍数以外の数であることは整数 $m$ を用いて $a=3m+1$ あるいは $a=3m+2$ と表すことができます。それぞれ平方すると
\[\begin{align*}a^2&=9m^2+6m+1=3(3m^2+2m)+1\\[6pt]a^2&=9m^2+12m+4=3(3m^2+4m+1)+1\end{align*}\]
ですから、いずれにしても 3 で割ると 1 余る数です。そこで改めて
\[a^2=3p+1\]
と書くことにします。 $b$ が 3 の倍数でない場合も同じように
\[b^2=3q+1\]
と表せます。つまりたとえば $a,\:b$ のうち片方だけが 3 の倍数である場合は平方数同士を加えると「3 で割って 1 余る数」になります。また両方とも 3 の倍数でない場合、平方数同士を加えると「3 で割って 2 余る数」になります。どちらにしても $a^2+b^2$ が 3 の倍数であるという仮定に反しているわけですら矛盾しています。つまり
$a^2+b^2$ が $3$ で割り切れる ⇒ $a$ と $b$ はともに $3$ で割り切れる
という命題が成り立つことになります。
(2) こちらも背理法で示します。$x^2+y^2=3$ を満たす 有理数 $x,\:y$ が 存在すると仮定 します。互いに素である数 $p,\:q$ を用いて有理数 $x$ を $x=p/q$ とおくと、方程式は
\[\left( \frac{p}{q} \right) +y^2=3\]
となります。つまり
\[(qy)^2=3q^2-p^2 \tag{1}\]
この式は $qy$ の 2 乗が整数になることを示しています。 $qy$ は有理数ですから、平方して整数になるのであれば、 $qy$ 自身もまた整数であるはずです。そこで $qy=k$( $k$ は整数)とおくと方程式 (1) は
\[p^2+k^2=3q^2 \tag{2}\]
これで (1) の結果が使えます。 $p^2+k^2$ は 3 の倍数ですから、$p$ と $k$ もまた 3 の倍数になっているということです。つまり $p=3s,\:k=3t$( $s,\:t$ は整数)とおくと方程式 (2) は
\[q^2=3(s^2+t^2)\]
となって、$q^2$ が 3 の倍数であることがわかります。つまり $q$ もまた 3 の倍数です。ところが $p$ も 3 の倍数でしたから、これは $p,\:q$ が互いに素であるという仮定に反しています。よって $x^2+y^2=3$ を満たす有理数 $x,\:y$ は存在しません。
【NT27】条件を満たす偶数が少なくとも 2 つあります
自然数 $a,\:b,\:c,\:d$ が $a^2+b^2+c^2=d^2$ を満たしています。
(1) $d$ が $3$ で割り切れるならば、$a,\:b,\:c$ はすべて $3$ で割り切れるか、どれも $3$ で割り切れないかのどちらかであることを示してください。
(2) $a,\:b,\:c$ のうち 偶数が少なくとも 2 つある ことを示してください。(横浜国立大学)
【ヒント】「割り切れる、割り切れない問題」で用いる定石があります。
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【解答】(1) $k$ を 非負の整数とすると全ての自然数 $n$ は
\[n=3k,\quad 3k+1,\quad 3k+2\]
という形で表すことができます。それぞれ平方すると
\[\begin{align*}(3k)^2&=3 \cdot 3k\\[6pt](3k+1)^2&=3(3k^2+2k)+1\\[6pt](3k+2)^2&=3(3k^2+4k+1)+1\end{align*}\]
となるので、
$n$ が $3$ で割り切れる ⇔ $n^2$ が $3$ で割り切れる
$n$ が $3$ で割り切れない ⇔ $n^2$ を $3$ で割ると余りが $1$
という必要十分条件が成り立ちます。つまり $d$ が $3$ で割り切れるということは、$d^2=a^2+b^2+c^2$ を $3$ で割ったときの余りが $0$ だということです。そのときのパターンは以下の2つに分けられます。
① $a^2,\:b^2,\:c^2$ のそれぞれを $3$ で割って余りを合計すると $0$
② $a^2,\:b^2,\:c^2$ のそれぞれを $3$ で割って余りを合計すると $3$
これを言い換えると、
① $a^2,\:b^2,\:c^2$ を $3$ で割った余りはすべて $0$
② $a^2,\:b^2,\:c^2$ を $3$ で割った余りはすべて $1$
さらに言い換えると、
① $a,\:b,\:c$ を $3$ で割った余りはすべて $0$
② $a,\:b,\:c$ を $3$ で割った余りはすべて $1$
つまり $a,\:b,\:c$ はすべて $3$ で割り切れるか、どれも割り切れないということです。
(2) すべての自然数は
\[n=2k,\quad 2k+1\]
で表すことができます。それぞれ平方すると
\[\begin{align*}(2k)^2&=4k^2\\[6pt](2k+1)^2&=4(k^2+k)+1\end{align*}\]
となるので、
$n$ が偶数 ⇔ $n^2$ が $4$ で割り切れる
$n$ が奇数 ⇔ $n^2$ を $4$ で割ると余りが $1$
つまり $d$ が偶数ならば、$d^2=a^2+b^2+c^2$ を $4$ で割ったときの余りが $0$ です。すなわち、$a^2,\:b^2,\:c^2$ を $4$ で割った余りの合計が 0 なので、$a,\:b,\:c$ はすべて偶数となります。また $d$ が奇数ならば、$d^2=a^2+b^2+c^2$ を $4$ で割ったときの余りは $1$ です。すなわち、$a^2,\:b^2,\:c^2$ を $4$ で割った余りの合計が $1$ なので、 $a,\:b,\:c$ のうち 2 つが偶数、1 つが奇数でなければなりません。以上より、$a,\:b,\:c$ のうち偶数が少なくとも 2 つあることが示されました。
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