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集合の演算(交換・結合・分配)

集合の定義(有限集合と無限集合)

たとえば「8 以下の自然数」を書き並べて
 \[1,\:2,\:3,\:4,\:5,\:6,\:7,\:8\]
のように範囲が定まった集まりをつくります。このような集まりのことを 集合 (set) とよびます。そして集合を構成している個々のものを 要素 (element) といいます。全ての要素を { } で括って
 \[A=\{1,2,3,4,5,6,7,8\}\]
のように書けば、$A$ は「8 以下の自然数」で構成される集合であることを明示したことになります。この例のように要素の数が有限であるとき、この集合を有限集合とよびます。しかし、たとえば自然数全体を集合として扱う場合は、要素数が無限にあるため無限集合とよび、
 \[A=\{1,2,3,\cdots\}\]
のように表します。

部分集合と真部分集合

集合を考えるときは下の図のような ベン図 (Venn diagram) を用いて表すと複雑な関係も理解しやすくなります。
 
集合ベン図

図にあるように、集合 $A$ のどの要素も集合 $B$ の要素であるときには、$A$ は $B$ の 部分集合 (subset) であるといい、
 \[A\subseteq B\]
という記号で表します。たとえば正の偶数全体は自然数の部分集合となります。この記号は $A$ と $B$ の要素が全て一致している場合も表しています。$A\subseteq B$ かつ $B\subseteq A$ ならば、$A$ と $B$ の要素は一致しているといい、
 \[A=B\]
と表します。もし $A$ と $B$ が等しくないことが明らかな場合は
 \[A\subset B\]
と書いて、$A$ は $B$ の真部分集合 (proper subset) であるといいます。

共通部分と和集合

下図のように、$A$ と $B$ のどちらにも含まれる要素で構成される集合のことを $A$ と $B$ の共通部分 (intersection) とよび、
 \[A\cap B\]
と表します。「$A$ かつ $B$」あるいは「$A$ cap $B$」と読みます。
 
Excel共通部分ベン図

$A$ と $B$ の少なくとも一方に含まれる要素で構成される集合のことを $A$ と $B$ の 和集合 (union) とよび、
 \[A\cup B\]
と表します。「$A$ または $B$」あるいは「$A$ cup $B$」と読みます。
 
Excel和集合ベン図

全体集合と補集合、空集合

最初にある1つの集合 $U$ を定義して、$U$ の要素や部分集合を考えるとき、$U$ を 全体集合 (universe) といいます。$U$ の部分集合 $A$ を定義したとき、$A$ に属していない要素で構成される集合を $A$ の補集合とよび、$\bar{A}$ で表します。
 

 
また、要素を1つも含まない集合のことを 空集合 (null set) とよび $\phi$ で表します。

集合の演算

集合の演算規則についてまとめておきます。
 \[\begin{align*}\bar{A}&=A\\[6pt]A\cap\bar{A}&=\phi\\[6pt]
A\cup U&=U\\[6pt]A\cap U&=A\end{align*}\]
① 交換法則
\[\begin{align*}A\cup B=B\cup A\\[6pt]A\cap B=B\cap A\end{align*}\]② 結合法則
\[\begin{align*}A\cup (B\cup C)=(A\cup B)\cup C\\[6pt]A\cap (B\cap C)=(A\cap B)\cap C\end{align*}\]③ 分配法則
\[\begin{align*}A\cap (B\cup C)=(A\cap B)\cup(A\cap C)\\[6pt]
A\cup (B\cap C)=(A\cup B)\cap(A\cup C)\end{align*}\]④ ド・モルガンの法則
\[\begin{align*}\bar{A\cap B}=\bar{A}\cup\bar{B}\\[6pt]\bar{A\cup B}=\bar{A}\cap\bar{B}\end{align*}\]
下のベン図は分配法則を表したものです。
 
集合(AかつBまたはC)
 
集合ベン図(AかつBまたはAかつC)

集合の和

有限集合 $A$ に対して、その要素の数を $n(A)$ と書くと、2 つの有限集合 $A,\:B$ の要素の数について次の式が成り立ちます。
 \[n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)\]
$n(A)+n(B)$ は共通部分を重複して数えているので、そのぶんだけ 1 回引いておくのです。たとえば $A,\:B$ を
 \[A=\{2,\:4,\:6,\:8,\:10,\:12\},\quad B=\{3,\:6,\:9,\:12\}\]
のように定義して、この 2 つの集合を合わせることを考えます。それぞれの要素の数を単純に足し合わせると
 \[n(A)+n(B)=6+4=10\]
となりますが、共通部分の 6 と 12 を余分に数えているので、それを差し引いて
 \[n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)=10-2=8\]
となります。$A\cap B=\phi$ のときは共通部分がないので
 \[n(A\cup B)=n(A)+n(B)\]となります。

集合の積

2 つの集合 $A,\:B$ について、1 つずつ要素 $a,\:b$ を取り出して $a$ のあとに $b$ を並べたものを 順序対 とよび、$(a,\:b)$ で表します。集合 $A,\:B$ に含まれるすべての要素について順序対をつくり、それらを全て含む集合を $A$ と $B$ の 直積 (direct product) とよび、
 \[A\times B=\{(a,\:b)|\:a\in A,\:b\in B\}\]
で表します。たとえば
 \[A=\{1,\:2,\:3\},\quad B=\{4,5\}\]
と定義すると
 \[A\times B=\{(1,4),\:(1,5),\:(2,4),\:(2,5),\:(3,4),\:(3,5)\}\]
となります。$A$ の要素 1 つに対して $B$ の要素が 2 つあるので、直積集合の数は 3 × 2 = 6 個となっています。一般に直積集合の数は
 \[n(A\times B)=n(A)\times n(B)\]
によって計算できます。

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