Excel VBA 数学教室ではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。

【Excel】等比数列と等比級数(幾何級数)

等比数列と等比級数

隣り合う二項の比が一定数 $r$ であるような数列 $a_{n+1}=ra_n$ のことを等比数列あるいは幾何数列とよびます。また定数 $r$ は公比とよばれます。等比数列の各項を足し合わせたものを等比級数といいます。

初項 $1$, 公比 $r$ の等比数列の一般項は
 \[a_n=r^{n-1}\tag{1}\]
で表され、$n$ 項までの和(有限等比級数)は $r=1$ のとき
 \[S_n=n \tag{2}\]
となり、$r \neq 1$ のとき
 \[S_n=\frac{1-r^n}{1-r}\tag{3}\]
となります。無限等比級数は $|r| \lt 1$ のときのみ収束して
 \[S=\frac{1}{1-r}\tag{4}\]
という値をもちます。$|r|\geq 1$ のときは発散します。初項が $a$ の場合は各公式に $a$ をかけます。

【(1)の証明】初項 $1$, 公比 \(r\) の等比数列を具体的に書き並べると
 \[1,\quad r,\quad r^2,\quad r^3,\quad\cdots\]
のようになります。各項について
 \[\begin{align*}第\:1\:項\quad 1\times r^0\\[6pt]第\:2\:項\quad 1\times r^1\\[6pt]第\:3\:項\quad 1\times r^2\\[6pt]\end{align*}\]
のように項番号と $r$ の肩にある数字が 1 つだけずれているので、一般項は
 \[a_n=r^{n-1}\tag{1}\]
と書き表せます。

【(2)(3)の証明】$r=1$ のときは
 \[S_n=1+1+1+\:\cdots\:+1=n\]
となります。$r\neq 1$ のときは、$S_n$ と $rS_n$ を具体的に書き並べると、
 \[\begin{align*}S_n=1+r+r^2+\:\cdots\:+r^{n-2}+r^{n-1}\\[6pt]rS_n=r+r^2+r^3\:\cdots\:+ r^{n-1}+r^n\end{align*}\]
となります。両式の差をとると 2 つの項だけが残って
 \[(1-r)S_n=1-r^n\]
となるので、
 \[S=\frac{1-r^n}{1-r} \tag{3}\]
が得られます。
 
【(4)の証明】$r=1$ のときは先の公式
 \[S_n=n\tag{2}\]
において $n\rightarrow\infty$ で発散します。$|r|\gt 1$ のときは公式
 \[a_n=r^{n-1}\tag{1}\]
において数列が発散するので級数も発散します。$|r|\lt 1$ のときは公式
 \[S=\frac{1-r^n}{1-r}\tag{3}\]
において、$n\rightarrow\infty$ とすると、$r^n$ の項が $0$ となるので
 \[S=\frac{1}{1-r}\tag{4}\]
が得られます。例として初項 $1$、公比 $1/2$ の等比数列の一般項と和を求めてみます。$r=1/2$ なので一般項は
 \[a_n=\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}\]
となります。有限項の和は
 \[S_n=\frac{1-\left(\cfrac{1}{2} \right)^n}{1-\cfrac{1}{2}}=2-\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}\]
となり、この式で $n\rightarrow\infty$ の極限をとると、無限級数の値 $S=2$ を得ることができます。

初項 $a$ の等比数列の一般項
 \[a_n=ar^{n-1}\]
において両辺の対数をとると
 \[\log a_n=\log a+(n-1)\log r\]
のように書けるので、数列 $\log a_n$ は初項 $\log a$, 公差 $\log r$ の等差数列となります。

等比数列の任意の連続した 3 つの項 $a,\:b,\:b$ について
 \[b^2=ac \quad (b \neq 0) \tag{5}\]
が成り立ちます。

【(5) の証明】公比を $r$ とすると
 \[\frac{b}{a}=\frac{c}{b}=r\]
が成り立つので、
 \[b^2=ac\quad (b\neq 0)\tag{5}\]
が得られます。

Excelで等比数列と各項の和を計算します

Excel では等比数列の二項間の関係
 \[a_{n+1}=a_n r\]
で数列を作成できます。また、第 $n$ 項までの等比数列の和は、各セルを順次足していくという手法を用いるので、
 \[S_n=S_{n=1}+a_n\]
という関係式で計算させます。初項 $1$, 公比 $3$ の等比数列を計算してみます。下図を参照にシートを作ってください。
 
Excel等比数列①

・セルF2 に初項 a1, F3 に公比 r を設定しておきます。

・n の下には 1 から 10 までの数列番号を用意しておきます。

・セルB2 には絶対参照で「=$f$2」と入力して初項が入るようにします。

・セルC2 には「=b2」と入力して S1=a1 となるようにします。

・セルB3 は「初項×公比」ですから「=b2*$f$3」と入力します。

・セルB11 セルまでオートフィルして数列の一般項のデータを完成させます。

・セルC3 は S1 に a2 を加えた S2 が入ります。
 
・セル「=c2+b3」と入力してオートフィルしておきましょう。

以上で等比数列の一般項と和のデータが揃いました。
 
公比 r を 1/2 = 0.5 に変更してみましょう。
 
Excel等比数列②

公比の変更に応じて一般項と総和のデータも更新されますが、注目すべきは Sn の最後のほうのデータです。n の増加に対して数値にほとんど変化がなく、4 に近づいている様子が見えますね。実際、[3] の公式を使って
 \[S_{n}=\frac{2(1-0.5^{n})}{1-0.5}\]
において $n\rightarrow\infty$ とすれば $S_{n}\rightarrow 4$ という極限値が得られますが、その収束は非常に速く、$n=10$ においてすでに $S \simeq 4$ とみなしてよいことがわかりますね。

エクセルや数学に関するコメントをお寄せください

  1. 武田勝敏 より:

    こちらをエクセルで計算させる場合を教えて頂けますでしょうか。
    =0.98
    =0.3

    0
    1 (1−)+(⋅)
    2 (1−)+(⋅)(1−)+(⋅)^2
    3 (1−)+(⋅)(1−)+(⋅)^2(1−)+(⋅)^3



    n (1−)+(1−)∑(=1)(−1)(・)^ +(⋅)^n



    • Blog Cat より:

      数式に (⋅)^n など意味不明な記号が含まれています。
      何かのアプリで記述した数式を貼り付けるなどして、文字化けしているようにも見えます。
      数式はコメントフォームに直接入力するか、Windows のテキストドキュメントからコピペしていただけると助かります。
      その際、加減乗除の記号は +, -, *, / を使ってください。
      総和記号を使う場合、たとえば変数 n について、1 から 10 まで n^2 の総和をとるときは、
       Σ_{n=1}^{10}n^2
      のように記述していただけると助かります。