数学ってなんの役に立つの?

数学ってなんの役に立つの?

「ねえ、数学ってなんの役に立つの?
 お子さんからこんな質問をされたことはありませんか?
 いきなりこんなことを訊かれても、咄嗟には上手く答えられないかもしれません。
 答えは色々ありそうですね。
「自分で考えなさい」
「受験のためだ」
「役になど立たない」
「用事を思い出した。また後で」
「論理的思考力を身につけることができる」
「君が遊んでいるゲームは数学を応用して作られているんだぞ」
「理系なら物理や工学で学ぶための土台になる」
「文系でもマーケティングリサーチなどで統計処理能力が求められる」

 お子さんも成長するにしたがって、現代技術を支える様々な分野で数学が使われていることを自然と理解するようになるでしょうし、それも大切なことだと思うのですが、私自身は数学が役に立つか否かは、数学の本質とは無縁のものであると思います。むしろ数学が多方面の分野に貢献しているからこそ、かえって数学の本質が隠れてしまっている気がするのです。
 

音楽は何の役に立つの?

 さきほどの質問で「数学」という単語を「音楽」に換えて、
「音楽は何の役に立つの?」
としてみると、なにかとても奇異な質問に思えます。あるいは
「絵画は何の役にたつの?」
「文学は何の役に立つの?」
としても、やはり心理的に受けつけられないような質問です。
 音楽や絵画は楽しむものであり、人生を豊かにするものです。それが役に立つかどうかなんて普通の人は考えもしないはずです。こんな質問を真面目にする人がいたら、よほどの変人か情緒に欠けた人でしょう。

 私自身は、数学は理数学問というよりは芸術分野に含まれると感じています。数学の公理系や定理は、数式という特殊な言語で組み立てられた美的構造物で、それを理解すること、あるいは理解しようと努めることは、美術館で名画を鑑賞したときの感覚にとてもよく似ています。

 たとえば解析学の土台となる

有界な数列は収束する部分列をもつ

という ボルツァノ - ワイエルシュトラスの定理 などは私のお気に入りです。実に味わい深いものがあるのです。このサイトを訪れる皆さんも、やはり数学好きな人が多いでしょうから、それぞれにお気に入りの定理や数式があると思います。
 

自然法則もまた数式で記述されます

 物理学や化学、生物学などは現実の自然界を対象とする学問であるのに対して、数学は直接的には自然界そのものを記述する学問ではなく、人間の思考によって組み立てられた抽象学問です。

 しかし一方で、自然界の法則をこれほど見事に記述できる言語は数式以外にありません。たとえば一般相対性理論のアインシュタイン方程式 (Einstein's equations) とよばれる

Gμν + Λgμν = κTμν

という簡潔な数式ひとつから、宇宙の構造に関する様々な現象を導くことができます。それはあたかも観察対象から余計なものを削ぎ落として、一滴の真実の雫をすくい取ったような感覚を覚えるのです。

 この記事の内容はあくまで私個人の考え方(というよりも感性?)なので、様々な異論もあるかと思います。よければ下のコメントフォームから皆さんの意見をお聞かせください。

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