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硬貨を投げて少なくとも2枚が表となる確率

【PS23】少なくとも2枚が表となる確率

複数の硬貨を投げます。少なくとも2枚が表となる確率99% 以上にするためには何枚以上のコインを投げる必要がありますか?

【ヒント】投げる硬貨の数を n とおいて条件を満たす確率を計算して、その確率が 0.99 を超えるような n を探します。

【考え方】5 枚の硬貨で考えてみます。少なくとも 2 枚が表となる事象余事象すべてが裏または 1 枚だけが表となる事象です。コインの表を H, 裏を T という記号で表して、余事象を列挙すると次のようになります。

T T T T T
H T T T T
T H T T T
T T H T T
T T T H T
T T T T H

すべてが裏となる確率は 125 であり、1 枚だけが表となる確率は 525 なので、余事象の起こる確率はこれを足し合わせて
125+525=625
となり、「少なくとも 2 枚が表となる」確率は
1625
と表せます。
 
【解答】投げる硬貨の数を n とおきます。「少なくとも 2 枚が表となる」事象を A とすると、その余事象 A¯ は「すべてが裏または 1 枚だけが表」となります。すべてが裏となる確率は
12n
であり、1 枚だけが表となる確率は
n2n
なので、余事象 A¯ の起こる確率は
P(A¯)=12n+n2n=n+12n
となります。したがって、事象 A の起こる確率は
P(A)=1P(A¯)=1n+12n
です。この確率が 99% 以上となるのは
1n+12n0.99
という不等式をみたすときです。式を変形すると
2nn+1100
となります。指数関数は1次関数より速く増加します。f(x)=2xx=1 のときに g(x)=x+1 と交点をもち、x>1 では常に 2x>x+1 を満たします。すなわち、2x/(x+1)x>1 で単調増加関数です。参考のために、Excel で描いたグラフを掲載しておきます。

Excel確率統計演習22のグラフ
つまり不等式の左辺に適当な n を代入して、左辺が右辺より小さい場合は、それより大きな n を代入する、ということを繰り返せば条件を満たす n を見つけることができます。実際には n=10 のときに左辺は 100 に近い値をとることが予測できるので、とりあえず代入してみると
21010+1=102412=93.1
となります。n=11 を代入すると
21111+1=204812=170.7
となって 100 を超えます。よって、少なくとも 2 枚が表となる確率を 99 以上にするには、11 枚以上のコインを投げる必要があることがわかります。

【PS24】進む道をランダムに選びます

東西に延びる道路が南北の道で結ばれている街路があります。

確率演習問題 街路と分かれ道
ある人が P 点から東に向かって出発し、以下の規則 [A], [B] にしたがってこの街路を進み、地点 A, B, C, D のいずれかに到達するものとします。

[A] 西から分かれ道に至った場合にはサイコロを振って 12 の目が出たときには東へ進み、それ以外の目が出たときには南北の道へ進みます。
[B] 北または南から分かれ道に至ったときには東へ進みます。

(1) A に到達する確率を求めてください。
(2) D に到達する確率を求めてください。
(3) B または C に到達する確率を求めてください。(センター試験一部改)

【ヒント】まず最初に AD に到達する経路を調べます。
 
【解答】(1) D に到達するのは下の図の赤い経路です。

Excel Figure Aに到達する経路
Q23 の確率で北の道に向かうので、求める確率は P(A)=23 となります。
 
(2) D に達するのは下の図の赤い経路です。
 
Excel Figure Dに到達する経路
 Q で東へ、R で南へ、S で南へ進むので、求める確率は
 
P(D)=132323=427
となります。
 
(3)「 B または C に到達する」事象は、「 A または D に到達する」事象の余事象なので、(1) と (2) の結果を用いると、求める確率は
 
P(BC)=1P(A)P(B)=123427=527
となります。

【PS25】1 枚目よりも 2 枚目の数字が大きい確率

 n をある自然数とします。片面に 1n の数字が書かれたカードを数字が見えないように伏せて並べます。その中から 1 枚を選んで数字を表にして、そのカードをそのままの状態にして、残り n1 枚のカードから 1 枚を選んで数字を表にします。このとき、2 回目に引いたカードに書かれた数字が、最初に引いたカードの数字よりも大きい確率を求めてください。
 
【ヒント】対称性を考えると直感的に 1/2 になることはわかりますが、それを計算で確かめてみようという問題です。
 
【考え方】最初から n 枚で考えるとイメージしにくいので、9 枚のカードで考えてみます。このとき、たとえば最初に 4 のカードが選ばれたとします(下図参照)。
 
確率演習問題 1 枚目よりも 2 枚目の数字が大きい確率
 
 最初に 4 のカードを引いて、2 回目に残り 8 枚のカードから 4 より大きな数字 5, 6, 7, 8, 9 のいずれかを選ぶ確率は
 
19948
のように計算できます。同様に考えて、最初に k という数字の書かれたカードを選び、2 回目に残り 9k 枚のカードから k より大きな数字のカードを選ぶ確率は
 
199k8=9k72
となります。これを k=1 から k=9 まで足し合わせれば、2 回目に引いたカードに書かれた数字が、最初に引いたカードの数字よりも大きい確率となります:
 
k=199k72=172k=19(9k)=172{999(9+1)2}=12
 
【解答】最初に k という数字の書かれたカードを選び、2 回目に残り nk 枚のカードから k より大きな数字のカードを選ぶ確率は
 
1nnkn1=nkn(n1)
で計算できます。この式を k=1 から k=n まで足し合わせると、求める確率が得られます。
 
k=1n9kn(n1)=1n(n1)k=1n(nk)=1n(n1){n2n(n+1)2}=1n(n1)n2n2=12

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