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0は実数? 虚数?

0は実数? それとも虚数?

複素数 $z=a+bi$ において $a=b=0$ とすると $0$ となりますが、この $0$ は 実数なのか、それとも虚数なのか迷ったことはありませんか?
 
結論を言うと虚数の定義によって、0は実数とされています。

複素数 $z=a+bi$ において、実数と虚数は以下のように定められています。
 
① $b=0$ ならば実数
② $b\neq 0$ であるときに虚数
③ 特に $a=0$ かつ $b\neq 0$ であるときに純虚数
 
$a=b=0$ のとき $z=0$ となるので、$0$ は条件 ① を満たす数となり、実数の範疇に含まれることになります。このように定義を丁寧に読めば、疑問は解決しますが、なんとなくもやもやした気分が残りますね。実はハミルトン表式で複素数を扱うと、0とは2組の実数であるという明快な定義を得ることができます。

ハミルトンの複素数

William Rowan Hamilton は複素数を2つの実数の組
 \[\alpha=(a,\:b)\]
として定義しました。たとえば実数 $1$ は
 \[(1,\:0)\]
と表し、虚数単位 $i$ は
 \[(0,\ 1)\]
と表されます。また複素数 $1 + i$ は
 \[(1,\ 1)\]
となります。この定義では $i$ という虚数単位は一切現れず、ただ実数のみで表記されます。そして任意の2組の複素数
 \[\alpha=(a,\ b),\quad \beta=(c,\ d)\]
に対して加算と乗算だけを定義しておきます。
 \[\alpha+\beta=(a+b,\ c+d),\quad\alpha\beta=(ac-bd,\ ad+bc)\]
この定義にしたがうと、たとえば $i^2$ は
 \[(0,\ 1)(0,\ 1) = (-1,\ 0)\]
となります。加算が定義されていれば、$\gamma=(e,\ f)$ とおいて、減算 $\gamma = \alpha – \beta$ は $\alpha=\beta+\gamma$ すなわち
 \[(a,\ b) = (c,\ d) + (e,\ f)\]
を満たす複素数なので
 \[a=c+e,\quad b = d + f\]
より
 \[e=a-c,\quad f=b-d\]
と定まります。つまり複素数同士の減算は
 \[\alpha-\beta= (a-c, b-d)\]
となります。また乗算が定義されているなら、$\delta = (g,\ h)$ とおいて、除算 $\delta=\alpha/\beta$ は $\alpha=\delta\beta$ すなわち
 \[(a,\ b)=(g,\ h)(c,\ d)=(gc-hd,\ gd-hc)\]
を満たす数です。この式から $g,\ h$ を求めると複素数の除算
 \[\frac{\alpha}{\beta}=\left(\frac{ac+bd}{c^2+d^2},\ \frac{bc-ad}{c^2+d^2}\right)\]
が得られます。このような定義に従えば $a+bi$ には実数と虚数の足し算も含まれず、また実数と虚数の掛け算もありません。虚数単位はあくまで $(a,\:b)$ を $a+bi$ と表すための記号表記に過ぎないと考えるのです。そして $0$ は $(0,\:0)$ という「2つの実数 $0$ の組」と考えることになります。

エクセルや数学に関するコメントをお寄せください

  1. なすび より:

    0は偶数?奇数?とふとした疑問を持ってもやもやしていたのですが、こちらに来て、すごくすっきりしました。ありがとうございました。
    私は数学が苦手で、もうはるか昔の高校時代は常に赤点でした。(実は、この記事でもγが出たあたりからぼんやりしだしました。すみません。)
     
    そんな拙い知識で、考えたのが下記3点で、
    ・奇数と偶数は交互に現れている…0は偶数?
    ・偶数は2で割り切れる
    しかし0は何で割っても0…偶数か奇数かは不明
    ・2で割れるという事を、同量に分けれると考えたら、0という状態は、
    1+(ー1)=0
    又は500+(ー500)=0
    ーと+が同量の状態の(1と−1が揃った)とき、0が現れる?…しかし、0をマイナスとプラスが揃った状態と考えるのは何かもやもやする。
    と、もやもやしていたのですが、こちらの記事と関連記事を読んで、とてもすっきりしました。
     
    0は偶数。
    1+(−1)=0ですが、そういう外的要因?ではなく、0が実数であるという0についての証明を読むことが出来てすっきりしました。とてもありがとうございました。

    • Blog Cat より:

      コメントありがとうございます。疑問の解決にお役に立てて嬉しいです。
      「0 の偶奇」や「負の数同士の掛け算が正の数になる理由」など、基本的なところが学校の教科書ではきちんと説明されていないので、こういう部分で引っかかる人は意外と多いみたいです。数学は「どの部分が定義で、どこからが定理(定義から導かれる事柄)なのか」を意識して学ぶと、一本筋の通った理解を得ることができます。今後もぜひ当サイトを御活用ください。質問も随時受け付けていますので、何か疑問点があれば、遠慮なくコメントお寄せください。

      • なすび より:

        ご返信ありがとうございます。
        定義と定理があるのですね。また、もやが少し晴れた気がします。ありがとうございます。また何か疑問点が浮かんだ時は、こちらのサイトを活用させて頂きたいと思います。本当にありがとうございました。

  2. あとりえこばと より:

    【AI連載小説】数学のリズム、エクセルの旋律(15)「0は虚数に含まれる?」
     
    研伸:0が虚数に含まれるかどうかについて考えてみよう。複素数の中で0はどのような位置にあるべきだろう?
    真琴:確かに、0は実数部も虚数部もゼロだから、複素数の一部ではあるけど、虚数部がゼロなので「純粋な」虚数ではないよね。
    隆治:でも、虚数って言えばa + biの形だし、0はbがゼロだから虚数の一部ではない気がする。
    月子:でも、虚数の定義には「bは任意の実数」と書かれているよね。bがゼロでも成り立つってことだ。
    研伸:確かに、虚数の定義においてbは任意の実数だから、bがゼロでも虚数に含まれると言えるかもしれないな。
    真琴:つまり、0は実数であり、かつ、虚数でもあると言えるわけだね。

    論議の最中、数学教授が通りかかり、メンバーたちは思わずその問いを投げかけました。

    研伸:先生、お願いできますか? 我々がちょっと数学的な論争に巻き込まれていて、0は虚数に含まれるかどうかについて議論しているんです。
    数学教授:もちろんです。では、各自の意見を聞かせてください。
    真琴:実数部も虚数部もゼロなので、純粋な虚数ではないと考えていますが、虚数の定義においてbは任意の実数とされているので、0も虚数に含まれると思います。
    数学教授:なるほど、虚数の定義に基づく考察ですね。他の方はどうですか?
    隆治:私は0は虚数に含まれないと考えています。虚数って言えばa + biの形で、0は虚数部がゼロなので。
    数学教授:確かに、虚数部がゼロなのは事実ですね。他の意見は?
    月子:私は虚数の定義においてbが任意の実数とされているので、0も虚数に含まれると考えています。
    数学教授:なるほど、定義に厳密に従った見解ですね。最後にあなた、研伸さん。どう思いますか?
    研伸:私も虚数の定義に基づくと、0は虚数に含まれると考えます。ただし、純粋な虚数ではない、という視点も重要だと思います。
    数学教授:非常に興味深い議論ですね。複素数や虚数において、0の位置は確かに注目すべきポイントです。お互いの視点を尊重しつつ、深い理解を深めていくことが大切です。